Coyu.Live「コロナ見舞・支援金」所属ライバーの危機救う【匿名クラブ・ウィズコロナ 第一回】

新型コロナウイルスの流行は、若者の生活を直撃した。学校をはじめとした現実のコミュニティが機能停止に陥るなかで、インターネットコミュニティの重要性はにわかに高まった。
コロナ禍を経て、若者たちの「つながり」の形はどう変わったのか。これからの時代に匿名クラブが果たすべき役割は何なのか。
特集「匿名クラブ・ウィズコロナ」では、毎週金曜・全4回にわたり、コロナ禍のもとでの匿名クラブの取り組みに迫る。(第一回)

ライバーコミュニティ「Coyu.Live」が実施した、新型コロナによる影響を受けた所属ライバーへの見舞金・支援金制度の申請期間が先月末で終了した。
少なくないネットユーザーが自宅待機を強いられるなか、良質なコンテンツの発信を支援するために急遽導入された同制度だが、見舞金・支援金の給付は所属ライバーの支えとなっている。

肺炎を発症、仕事も休業

関東地方に住む20代の所属ライバー・A氏(仮名)は今年初頭、発熱や寒気、せきなどの症状を訴え病院を受診、原因不明の肺炎と診断された。症状は重く、闘病中はライブ配信もほとんどできず、収益は大幅に減少した。

肺炎はほどなく完治したが、コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて職場は休業。貯金も底をつきかけ、財布の中身は1,000円に満たない日々が続いたという。

日々の食事は親族の支援を受けて食いつなぐ日も多かったが、それでも1日あたりの生活費が約400円程度という時期もあった。公的な支援の申請を検討したものの、前年度の収入証明が用意できず断念した。

Coyu.Liveの見舞金の対象に

4月16日、匿名クラブは国の「緊急事態宣言」発令を受けて対応策を発表。A氏の所属するCoyu.Liveでは、新型コロナ感染者や感染の疑いがあるライバーへの「見舞金」、コロナの影響で収入が減少したライバーへの「支援金」の給付を決定した。

これを受けてA氏はCoyu.Live運営事務局に相談。「支援金」の受給は減収の証明ができず対象外となったが、今年初頭に発症した肺炎が「新型コロナウイルスに感染した疑いがある」として「見舞金」を受け取れることがわかった。

A氏は5月1日、正式に見舞金を申請。約一ヶ月で自身の口座に振り込まれた。

受給後も仕事は不安定な状況が続いているものの、配信活動は再度軌道に乗った。Coyu.Liveの活動にも積極的に参加するようになっている。

上永会長「ライバーは次世代の文化の担い手」

匿名クラブは今年3月にCoyu.Live所属メンバーの通年募集を開始して以来、ライバーコミュニティ事業に注力している。所属ライバーは三ヶ月で4倍以上の増加を見せ、新しい匿名クラブの中核として成長しつつある。

この背景には、上永顕理会長の「動画配信は次世代のネット文化とならねばならない」とする考えがある。
今年に入り、お笑い芸人やテレビタレントらによるYouTube動画配信への参入の流れについて、「一般人が影響力を伸ばせる環境が脅かされつつある」と危惧する。Coyu.Liveは、中小規模のライバーのまとまりを作ることで大きな力を持たせようとする上永会長の思いから生まれた。

コロナ禍は、ネット利用時間を増加させた反面、芸能人らのネット参入も加速させた。上永会長は、少数のインフルエンサーが影響力を独占する流れを「ネット社会の終わり」であるといい、Twitterなどの匿名クラブが従来展開してきたソーシャルメディアでは、その「終わり」が近いと断ずる。そのような環境のなかで、匿名クラブはライブ配信に光明を見出した。

上永会長は、「Coyu.Live所属ライバーは、次世代のネット文化の重要な担い手という重要な役割を担っています。これまでのネット社会は常に、強大な資本や力を持った存在によって潰されてきたと言わざるを得ません。この流れがライブ配信の世界でも始まりつつある。これを食い止めるために、『中間層』というべき中小規模のライバーがまとまる必要があると考えています」と語る。

才能ある一般人が、のびのびとその才能を開花させられる、そんなネット社会を守れるのか。ライブ配信というネット文化の未来をかけて、Coyu.Live所属ライバーとともに、匿名クラブは挑戦を続ける。