匿名クラブ、ICO検討か — 実現には課題山積み

インターネットユーザー交流親睦団体の匿名クラブが、ICO(新規仮想通貨公開)に向けて前向きな姿勢を見せている。

同団体のちょこれーしょん常任役員は、26日夜に「匿名クラブで新しい仮想通貨作ろう」と提案。翌27日には上永顕理会長がこれに対して「トークンセール自体は普通にできる」と言及。法規制の問題を掲げると、ちょこれーしょん常任役員は「なんのために歯車がオーストラリアにいるねん」と、同団体の創設の地でもあり、ファウンダーのはぐるまん顧問の住むオーストラリアでのICOを促した。

上永会長は、トークンの作成・販売の段階までは合法的に可能だと発言。ちょこれーしょん常任役員は「tkmcoin誕生だ」と興奮を隠さない。

仮想通貨に関連する技術の進展により、ICOは世界的な広まりを見せており、様々な企業がICOによる資金調達を実施している。匿名クラブもこれに乗じて活動資金を獲得することを検討しているものとみられる。

しかし、投機的リスクの高いICOには、高い法規制の壁が立ちはだかる。日本国内で事業者が発行したトークンを売買・取引に用いるためには、事業者は仮想通貨交換業者として金融庁に登録することが必要と考えられている。この登録を受けるための要件は極めて厳しく、同団体がこれをクリアすることは不可能である。ちょこれーしょん常任役員が言及した豪州でも、仮想通貨に関する法整備は進んでおり、法的なリスクは高いとみられている。

過去には、名古屋市の飲食店「サンタルヌー」が、がその利用に際して厳格な条件を設定したトークンを発行、資金調達に成功した事例があるが、このトークンも、商品券などと同様の「自家型前払式支払手段」として規制の対象になるとされており、法規制の枠を脱した形でのICOは極めて難しそうだ。

匿名クラブの上永会長は、ブロックチェーン技術を使用しない世界初のTwitterユーザー専用仮想通貨「WCP」の育ての親として知られており、今回のICO実施にも前向きに動く可能性が高い。

なお、ティッカーシンボル「TKM」は、すでにスイスのFreight Coin社によって使用されている。